Hematology

可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)の有用性は?

Answer

可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)は臨床でよく使うマーカーの一つです。

特に悪性リンパ腫の診療には必須ですよね。

ところが、sIL-2Rが高値のときに、いくら探してもリンパ腫が見つからないことってありませんか?

骨髄生検や肝・脾生検など、侵襲的な検査までした方がいいのか迷うことがあります。

どのくらい数値が高ければ悪性リンパ腫を考えるべきなのでしょうか?

sIL-2Rについてまとめました。

可溶性IL-2レセプターとは?

はじめに、sIL-2Rの基礎について確認します。


The IL-2 – IL-2 receptor pathway in health and disease: The role of the soluble IL-2 receptor
Jan Damoiseaux 
Clin Immunol. 2020 Sep;218:108515. doi: 10.1016/j.clim.2020.108515.

IL-2は主に活性化したT細胞により産生され、T細胞、NK細胞の増殖因子としてはたらく

IL-2受容体はα鎖、β鎖、γ鎖から成り、α鎖がIL-2に特異的

α鎖の細胞外ドメインが切り離され、sIL-2Rとなる

sIL-2R自体が、T細胞活性をの抑制をするという報告も促進するという報告もある

sIL-2R高値はT細胞の活性を反映する


sIL-2Rは免疫反応、特にT細胞の活性化により高値となります。

sIL-2R自体の機能についても、今後さらなる研究が期待されますね。

  • sIL-2RはT細胞の活性を反映する

可溶性IL-2レセプターの有用性は?

次にsIL-2Rの臨床的な有用性について考えます。

上で確認したように、免疫反応の活性で高値になるため、高値=悪性リンパ腫とは言えません。

悪性リンパ腫の診断には、どのくらいをカットオフとするのがよいでしょうか。


種々の病態における血清可溶性インターロイキン2受容体値の臨床的有用性について
杉本英弘, 橋本儀, 鈴木亨 ら.
臨床病理. 1996 Feb;44(2):176-82.

種々の悪性疾患における可溶性IL-2レセプター値

疾患 分類 患者数
(男/女)
年齢
(平均±SE)
sIL-2R (U/mL)
(平均±SE)
自己免疫疾患 関節リウマチ
SLE
シェーグレン症候群
強皮症
17 (2/15)
15 (1/14)
11 (1/10)
6 (0/6)
55.0±8.5
45.6±19.2
58.1±8.2
45.7±10.9
842.5±509.2
774.4±308.3
760.2±288.9
649.2±198.2
肝炎ウイルス陽性 HBs-Ag (+)
HCV-Ab (+)
20 (11/9)
20 (12/8)
52.9±16.6
52.0±15.4
911.0±588.8
663.8±454.5
透析患者 HCV-Ab (-)かつATLA-Ab (-)
HCV-Ab (+)
ATLA-Ab (+)
20 (12/8)

30 (21/9)
8 (0/8)
56.3±13.8

53.7±17.6
52.5±14.2
1431.3±406.3

1504.2±534.2
1973.8±605.1
健常者 40 (20/20) 32.2±4.7 301.5±56.6

Soluble interleukin-2 receptor in cancer
Murakami S.
Front Biosci. 2004 Sep 1;9:3085-90. doi: 10.2741/1461.

種々の悪性疾患における可溶性IL-2レセプター値

疾患 n sIL-2R (U/mL) (平均±標準誤差) p値 (vs 対照)
対照 39 276 ± 19
胃癌 230 491 ± 29 0.0029
大腸癌 155 442 ± 32 0.0065
食道癌 34 490 ± 46 0.0001
乳癌 103 470 ± 37 0.0017

Serum soluble interleukin-2 receptor levels for screening for malignant lymphomas and differential diagnosis from other conditions
Jun Murakami, Kotaro Arita, Akinori Wada et al.
Mol Clin Oncol. 2019 Nov;11(5):474-482. doi: 10.3892/mco.2019.1922.

リンパ腫が疑われた患者248名の最終診断とsIL-2R値に関する論文

sIL-2Rは他疾患に比べ悪性リンパ腫で有意に高値であった

  悪性リンパ腫 他疾患  
  中央値(範囲) 平均値±SD 中央値(範囲) 平均値±SD P値
sIL-2R (U/mL) 920(159-58,089) 3,240±7,321 520(150-4,433) 786±727 <.01

悪性リンパ腫診断におけるsIL-2Rのカットオフ値ごとの特性
≥1,000 U/mL:感度 47%、特異度 77%、オッズ比 2.93
≥2,000 U/mL:感度 35%、特異度 93%、オッズ比 7.07
≥3,000 U/mL:感度 26%、特異度 97%、オッズ比 13.3
≥4,000 U/mL:感度 20%、特異度 99%、オッズ比 27.7


sIL-2Rは、悪性リンパ腫はもちろんですが、他の悪性腫瘍や自己免疫疾患でもそれなりに高値になるようです。

ただし、2,000 U/mLを超える場合は悪性リンパ腫を積極的に考えてもよいと思います。

  • sIL-2Rは悪性リンパ腫の他に、種々の悪性腫瘍、自己免疫疾患、感染症でも高値となる
  • sIL-2R >2,000 U/mLでは悪性リンパ腫を疑う

まとめ

sIL-2Rの有用性についてまとめました。

不明熱でsIL-2R高値しか手掛かりがない場合も経験します。

悪性リンパ腫はcriticalな疾患ですが、侵襲的な検査が必要かどうか、改めて検討したいところです。

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