内科は領域が広くどこから勉強していいのかわからなくなりますよね。
内科における診断の流れは大きく次の2つだと思っています。
- 問診・診察・検査で情報収集
- 集めた情報を病態生理に基づいて解釈
まず基礎的な知識として、症候や疾患に関する病態生理を知っておく必要があります。
この疾患ではこの所見、といったような覚え方よりも、なぜその所見がでるのか理解した方が忘れにくいですし、応用も利きます。
そして、問診・診察の仕方や基本的な検査を行い、病態生理に関する知識を基に解釈します。
今回は診断学、特に症候と病態生理の関連について勉強するのに有用な教科書を紹介します。
身体診察に関する教科書はこちらを参考にしてください。
内科診断学のオススメ教科書
ハリソン内科学
言わずと知れた内科学のスタンダードです。
二分冊になっており、1巻が総論、2巻が各論という構成になっています。
内科診断学の基礎を固めるという意味では1巻の主要症候のパートは是非読んでおきたいところです。
臨床でよく出会う症候ごとに、病態生理から鑑別まで解説されています。
2巻の各論もそれぞれの疾患の病態について専門書にも負けないくらいよく解説されています。
Dr.ウィリス ベッドサイド診断
少し古い教科書ですが、身体診察と臨床を結びつけるのに適した一冊です。
症状と所見について、どういう病態生理でそうなるのか述べられており、症候から鑑別を考えるのに非常に役立ちます。
図が少ないため慣れないうちは所見などのイメージがしにくいかもしれませんが、内科の奥深さを感じることのできる教科書です。
わたしも研修医の頃から愛読しており、今でも診断に困ったときに頼ることの多い教科書の1つです。
異常値の出るメカニズム
検体検査の解釈について勉強するのに良い教科書です。
異常値の背景にある病態を理解することで、診断に一歩近づくことができます。
改訂でカラーになった分ページ数が減ってしまったため、個人的には旧版の方が好みです。
一般的な検査項目であればこの本で十分ですが、もっと幅広い項目について勉強したい方は臨床検査法提要がおすすめです。(ほとんど辞書ですが・・・)フレームワークで考える内科診断
2018年に出版され、2021年に翻訳された鑑別診断に関する比較的新しい教科書です。
鑑別疾患を覚えるのって大変ですよね。
救急疾患であれば頻度順で覚えたり頭文字で覚えたりすると思います。
内科診療ではある程度時間の猶予もあるため、頻度や緊急性の高い疾患だけでなく、可能性のある疾患を網羅的に考える必要があります。
この教科書では、ある症候を病態ごとに分類しその項目をさらに分類する、といったフローチャートで鑑別する考え方が解説されています。
病態のレベルで網羅できていれば、その先の鑑別も漏れなく挙げることができます。
考え方を学ぶことで、この本に載っていない症候や状況でも同じ要領で鑑別を進めることができるようになります。
まとめ
内科診断学を勉強するのに教科書について紹介しました。
各疾患の治療に関する知識も重要ですが、正しく診断するための知識も身に付けたいですね。